食料安全保障推進財団

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コラム記事

「今までは金を出せば食料が買えたが、世界で食料需給が逼迫ひっぱくすれば、お金を出しても買えないということになりかねない」と指摘するのは東京大の鈴木宣弘教授(農業経済学)。
「小麦だけでなく、肉や魚も中国が高値で大量に購入し、日本が買い負けている状況が既に続いている」
 日本は経済力がある、買えばいい、という話でもないのが現状だ。となると自給率向上が必要となるが、鈴木氏は道のりの険しさをこう述べる。
「野菜は自給率が8割とされるが、9割が海外で種取りされる。化学肥料もほとんどを輸入に頼る。海外から種や肥料が入らない可能性を考えれば、自給率はもっと低い」
◆トマホークを買いコオロギを食べてしのぐ?
 さらに大きな壁がある。
 「戦後以来、日本は米国で余った農産物の供給先と位置付けられてきた。この期に及んでも米国追従で輸入が重んじられ、自給率向上が軽視されている」
とし、警鐘を鳴らす。
 「このまま放置すれば、米国からトマホークを買って有事をあおり、有事の際はコオロギをかじってしのぐということが絵空事ではなくなる」